習慣性流産について

不育症とは

繰り返す自然流産(妊娠21週まで)、や死産(妊娠22週以降)によって結果的には生児を得ることができない状態をいいます。

反復流産:連続2回の自然流産した状態で妊娠の2~4%の頻度
習慣流産:連続3回以上の自然流産した状態で妊娠の0.3~0.8%の頻度

女性年齢と不育症の関係

一般的に自然妊娠の約15%は流産します。
ただし年齢を重ねることに連れて、流産の頻度は上昇します(下表)。
このような年齢による流産率の上昇は卵子の染色体の異常の頻度の上昇によるものと考えられています。


受精卵と染色体異常の関係

自然流産のうち半数以上の胎児に染色体異常があると報告されています。また受精卵の多くにも染色体の異常があります。このような受精卵の多くは着床しても、ある時期までしか発育できない運命にあります。
このような原因での流産に関しては、自然である程度起こっているもので流産を防止するとかしないとかという問題ではありません。

流産の既往回数と流産の関係



上の表より流産の回数が多くなると、次回の流産のリスクは高くなります。ただ1回流産後の流産率は初回流産率とそれほどの違いはないので、過剰な心配は不要であると考えます

受診のタイミング

連続3回以上の流産の経験は全体の1%以下の夫婦です。
このような場合は妊娠の継続を阻害する何らかの病的な問題が母親、もしくは父親、さらには母体と赤ちゃんの間にあるのではないか と考えられます。
このような場合は積極的に不育症の原因検索をお勧めします。
諸外国では2回続けて流産した時点で不育症として対処すべきという国が多く、日本でも反復流産の時点で不育検査を受ける夫婦が増えているといいます。
このような観点からも2回の流産でも検査のご相談をお受けいたします。

不育症の原因



以上の図からも原因不明が多いのがわかります

不育症の原因、検査と治療

原因 検査 治療
凝固因子異常
血液凝固系の異常があると、おもに妊娠中期以降の子宮内胎児死亡が引き起こされることがわかっています。
国内では第XII因子低下症の頻度が高く、自己抗体の関与も指摘されており、胎盤での血栓を引き起こすことが流産の原因と考えられています。
aPTT,PT
凝固第Ⅻ因子
ProteinC活性
ProteinS活性
アンチトロンビン
抗凝固療法
抗リン脂質抗体陽性
抗リン脂質抗体を陽性の場合その抗体により血栓形成が促進され、胎盤の血流が悪くなったり、絨毛(胎盤)が直接傷害されて流産をおこしやすくなったりすると考えられています。
抗カルジオリピン抗体IgG,β2GP1
ループスアンチコアグラント
抗核抗体
へパリン療法
抗カルジオリピン抗体IgG,β2GP1
ループスアンチコアグラント
抗核抗体
抗凝固療法
漢方療法
子宮形態異常
子宮形態異常(双角子宮、中隔子宮、重複子宮など)、子宮腔内癒着、子宮筋腫などが流早産の原因となることがあります。
子宮鏡
子宮卵管造営
超音波
MRI
内視鏡下手術
染色体異常
夫または妻に染色体異常がある場合流産を繰り返すことがあります。
夫婦の染色体検査(Gバンド) 特になし
内分泌異常6.9%
黄体ホルモンの不足、過剰なプロラクチン、甲状腺機能異常、高血糖は流産の原因になります
下垂体ホルモン(FSH,LH,PRL)
下垂体負荷テスト(TRHテスト、LH-RHテスト)
黄体ホルモンP4
空腹時血糖、HbA1C、OGTT
甲状腺機能(TSH,FT4)
黄体ホルモンや排卵誘発
甲状腺ホルモン
抗インスリン薬
抗高プロラクチン薬
原因不明
凝固線溶系異常、遺伝子多型、細胞性免疫異常、精神的ストレス、感染症などが原因ではないかと考えられていますが、明確ではありません
感染症
NK活性
Th1/Th2
遮断抗体活性
抗ウイルス薬
免疫療法